空前絶後のブログ

「このようなブログを今後、我々が読むことは恐らくかなわないでしょう」-ヒラリークリントン-

嫌儲民は何故ネトウヨが嫌いなのか?

さてさて今回は2chの隔離板こと、『嫌儲』板についてお話します。「儲けるのが嫌い」と書いて嫌儲、「けんもう」と読みます。知らない方のためにざっと話すと2chではテーマごとに板(カテゴリのこと)が設置されており、その中のニュースと雑談がメインの板が嫌儲板です。また、その名前からアンチ金儲けという印象を受けますが、実際には「2chまとめブログへの転載、それをアフィリエイトでお金にする人たちが嫌い」程度の意味です。

http://fox.2ch.net/poverty/

を見ていただければ大体分かると思います。この嫌儲板を見る人を俗に「ケンモメン」と称するのですが、ケンモメンはネトウヨを嫌う傾向にあります。何でなのかっていうのを今回は分析してみようと思います。

 嫌儲民がネトウヨを嫌っている、というのは勢いのあるスレ(時間あたりの書き込み数が多いという意味)のうち、政治色の強いものをいくつか見ていただければ分かると思います。いわく

ネトウヨはやっぱりバカだなwww

ネトサポ乙www(←自民ネットサポーターズによる工作を揶揄)

・自民○ね(←嫌儲民にはアンチ自民、親共産が多いように思われます)

上級国民を許すな(←五輪のパクリ問題など、生まれがよくて人生イージーモードの人に対する怒り)

などの書き込みが散見されます。

ちなみに最近はまだウヨサヨともに見かけますが(「チョンモメン=朝鮮人の蔑称チョンとケンモメンを組み合わせた造語」による煽りレスも増えました)、2,3年前は本当にアンチネトウヨ一色でした。

こう書くと、「嫌儲民は売国工作員巣窟だから左翼が多いのは当たり前です」と声を大にしておっしゃる方もいるかと思います。まあ勿論そういった可能性もあるかもしれません。

ただ私が見た限りではその可能性は低い、というかむしろネトウヨの人がアンチネトウヨに転じたパターンが大多数なのかなと感じます。

どういうことかといいますと、それを説明するのには嫌儲板の成立について知ってもらわなくてはいけません。

嫌儲板はそもそも、最初から独立した板ではありませんでした。元々の母体としてニュース速報板というニュースについて語る板があり、そこから派生して生まれたのです。

ニュース速報板は2chでも人の多い、活発な板でした。独特の文化があり、面白いスレが量産されていました。そして、そこに目をつけた2chまとめサイトはニュース速報板からの転載を繰り返すことになります。

その際、まとめられる過程で面白いレス、過激なレスが特に抽出して取り上げられました。PVを増やすには簡潔お手軽に楽しめることが求められるからです。

しかし、こうした編集された「極端なもの」に慣れてしまった人たちが、まとめブログ経由でニュース速報板にやってくると、元々のニュース速報板の空気は壊され、前からいた住民達の反感を買ってしまうことになりました。

こうした反感を受けて2chの当時の管理人、ひろゆきが2007年に設立したのがアフィリエイトサイトへのレス転載禁止をうたったニュース速報(嫌儲)板なのです

その後、何度か移住騒動が持ち上がり、2012年におきたステマ騒動(後述します)によってほぼ全てのニュース速報板住人が嫌儲板に移住した事で、嫌儲板は2chでも大きな存在となったのです。

ここで注意したいのはニュー速板ではネトウヨ的な人が多かったということです。それが嫌儲に移り変わるとともに、一斉にアンチネトウヨばかりになりました。つまり、彼らを売国奴とか在日と批判するのは、幾分的が外れていると俺は思います。ではステマ騒動によってなぜネトウヨがアンチネトウヨに転向したのでしょうか。

そもそもこのステマ騒動ですが、ことの発端は人気アニメ魔法少女まどか☆マギカの製作会社シャフトの公式HPに、大手2chまとめサイト「やらおん」が使用するアフィリエイトリンクと同じリンクが貼られていたと指摘されたことから始まります。

このことからまどかマギカの爆発的人気は、やらおんはじめ2chのまとめサイトステマをすることで達成されたものであるという疑惑を生み、ひいては2chが言論や世論操作によいように使われているという反感につながったのです。

この事件は私もリアルタイムでおっていましたが、正直本当にステマが行われていたかどうかは微妙なところです。

まず、仮にシャフトとやらおんが繋がっていたとして、ステマの報酬をアフィリエイトリンクで払うでしょうか?シャフト社員がやらおんから商品リンクをコピってしまったというほうが自然です。

更に言えば、ステマの効果は実際そこまであるでしょうか。まどか以降、ステマだと叩かれた作品は沢山ありましたが、まどかほどの成功を収めた作品はありませんでした。まどか自体、作品のクオリティは高いと個人的に思いますし、ステマだけに作品の成功を還元できるとは思えません。

以上のようなことから、冷静に考えればステマがあったと主張するのは結構無理があるんですね。にも関わらず、騒動当時の2chでは反対するやつはみな2chまとめアフィの工作員といった勢いでした。

そもそもやらおんがまとめていたのは2chのアニメ板でした。アニメの話題禁止のニュース速報板には直接関係がありません(住民はアニオタが多かったですが)。

もっと言えば、ステマだけをするのであれば、別に嫌儲板からでも可能です。転載する分にはまとめブログでアフィリエイトをやらなければよいだけなので。だから移住することがステマ行為へのダメージとなるかといえば微妙なのです。

つまり、それにも関わらずニュース速報板で大炎上が起きたのは、それだけまとめサイトへの強い嫌悪感が先行していたのだということです。

その嫌悪感とは何か。1つは先ほども述べた、まとめサイトによって管理・工作されている感覚です。確かにニュース速報板末期は、煽りや刺激的な文面で人をひきつけることが増えていたと感じます。

それがイコールまとめサイトの工作とするのは早計ですが、彼らにそうしたことをする動機があったことも事実です。こうした疑惑はお上への反抗・疑惑=陰謀論へとつながっていきます。事実、移住騒動の最中では、まとめブログの背後にいる大手広告代理店の存在までがまことしやかに叫ばれました。

よく右翼は危機感論、左翼は理想論といいますが、ネットの世界で言えばネトウヨは感情論、ネトサヨは陰謀論であると俺は思います。ネトウヨが「韓国○ね!」と叫んでいる時、ネトサヨは「イルミナティの陰謀だ!」と叫んでいるのです。お上への万能視と反抗心、それがネトサヨが共有しているものなのです。

つまりニュース速報板の住民は、まとめブログへの嫌悪感を、いつしか陰謀論に変換し、ネトサヨとも言うべき存在へと近づいていったのです。

そしてもう1つはまとめブログによって量産されたネトウヨへの嫌悪感です。まとめブログにとって、ネトウヨはPVを稼ぐ重要なお客様です。そのため、そうした人たちを煽るようになるし、ニュース速報板から抽出されるレスにも偏りが生じます。

こうしたことへの嫌悪感はネトウヨアンチへの下地になります。そしてそれはまとめブログ経由でネトウヨになった人にとっても(意識しないにせよ)例外ではないでしょう。

まとめると、ステマ騒動というある種の大規模な「祭り」がまとめブログへの嫌悪感を強烈に人々に共有させ、それが人々をアンチネトウヨへと導いたのではないか、というのが俺の持論です。

その良し悪しはともかく、誰にも支配できない形で、今も日本最大のネットメディアは変化し続けているのです。