空前絶後のブログ

「このようなブログを今後、我々が読むことは恐らくかなわないでしょう」-ヒラリークリントン-

キングクリムゾンの能力を解説!ジョジョ好きが絶対に理解していないといけない理由とは

 

アニメも絶賛放映中の『ジョジョの奇妙な冒険』。ネットでもカルト的人気を誇る荒木飛呂彦先生原作の漫画です。

現在5部まで放映されていて、ジョジョっていう作品がどういうものなのか、特に3部から始まったスタンドとはなんなのか、割と多くの人が知っていると思いますが、ここでさらっとおさらいしておきます。

物語は19世紀のイギリスを舞台にジョナサン・ジョースター、愛称:ジョジョが「石仮面」と呼ばれる不思議な古物を見つけるところから始まります。この仮面は実は被せた人間を吸血鬼に変えてしまう道具であり、その秘密を知ったディオ・ブランドーは仮面を奪い吸血鬼へと変貌します。悪行の限りを尽くすディオに対抗するため、吸血鬼を倒す技術・「波紋」を身に着けたジョジョはディオに戦いを挑む・・・というもの。

 

ディオとの戦いの後、舞台は50年後のアメリカへと移り、主人公もジョナサンの孫のジョセフ・ジョースターへと移ります。以降、主人公が代わるごとに1部、2部とカウントしていくわけですね。人によって何部が好き、みたいなのがあって3部~5部は比較的人気が高い印象です。俺は5部が好きです。

 

んで、3部から導入される新要素がスタンドです。人には見えないけど精神を具現化したもので、人型だったり獣型だったりと様々です(下図参照)。任意に物体に触れることができ、スタンドによっては銃弾を跳ね返すほどのパワーとスピードがあったりします。

 

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そしてもう一つ重要なことはスタンドは1体につき1つ、なんらかの超能力を持っています。なのでスタンド使い同士が戦うと、「お互いに相手の能力を予想しあい、裏をかきあう」という展開となり、これが非常に面白い!まさにジョジョの醍醐味ですね。

 

んでこのスタンド能力、3部ぐらいだと「炎を操る」とか「磁力を操る」みたいな分かりやすい能力が多いんですが・・・4部、5部と続くにつれネタギレなのかどんどん複雑な能力が増えてきます。

対象の舌にとりつき、あらゆる言葉を逆に伝えさせるスタンド!」みたいな。複雑化した分、読みあいや対策がアツく、ちゃんと読めば面白いのですが、敬遠してしまう人もいるかもしれません。

それでやっと本題ですが、そんな「複雑な能力」の中でも特に難解だと言われるのが5部のラスボス、ディアボロのスタンドであるキングクリムゾンです。

能力は「時を吹き飛ばすことで過程が消し飛び結果だけが残る」というもの。ニコニコとかで知ってる人も多いかもしれないし、感覚的にはなんとなくは分かるけど・・・という感じかもしれません。

でもね、実はこのキングクリムゾン、荒木先生の世界観というか哲学に根差した、とても奥深いスタンドなんです!そう、キングクリムゾンの能力をちゃんと理解することはジョジョを100倍楽しめるってことなんです!なので今回はキングクリムゾンの能力とその哲学を徹底解説していくよ!

 

で、その前にちょっと話が飛ぶんだけどジョジョ5部の頻出ワードの一つとして『覚悟』って言葉があります。

 

暗闇に道を開くのは、「覚悟」のある者だけだ…おもしろくなってきた……最悪で犠牲は必要だが… このぼくとミスタの「責任」は!「覚悟」が道を切り開く!! 

 

ジョルノ・ジョバァーナ

 

ミスタは今!ヤケになっているッ!
責任は自分の身を「犠牲にして償う」…と!

だがッ!追いつめられた根性ではないッ!
「覚悟」だッ!「覚悟」が必要なんだッ!

「覚悟」とは…………犠牲の心ではないッ!


「覚悟」とは!!
暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開く事だッ!

 

ジョルノ・ジョバァーナ

 

『任務は遂行する』『部下も守る』。“両方”やらなくっちゃあならないってのが“幹部”の辛いところだな。覚悟はいいか?オレはできてる

 

―ブローノ・ブチャラディ

 

ジョルノとブチャラティは5部の主人公コンビなんですが、少年漫画らしいアツさと示唆に富むセリフです。

で、彼らのいう覚悟ってなんだろうっていうと、それは自分に起こる最悪を受け入れた上で諦めずに行動するってことなんですね。これは5部の大きなテーマの一つで。

その事を示す象徴的なエピソードが、100%当たる予言をするというスタンド使いが登場する回。このお話で、主人公チームの一人は「仲間の死」を予言されます。それはもうそういうスタンド能力であり、予言は絶対に覆せない、必ず現実のものになります。そして予言者のスタンド使いは言います。

 

ミケランジェロは、「究極の形」は、考えてから彫るのではなく、
すでに石の中に運命として「内在している」と言っているのだ。
彼は彫りながら運命を見ることができた芸術家なんだ。

われわれはみんな「運命の奴隷」なんだよ。
それがぼくの能力――「ローリングストーンズ」の意味なんだ。

 

彼らがこれから歩む『苦難の道』には、何か意味があるのかもしれない……

彼らの苦難が……どこかの誰かに希望として伝わって行くような、
何か大いなる意味となる始まりなのかもしれない…

無事を祈ってはやれないが、彼らが『眠れる奴隷』であることを祈ろう……
目醒めることで…何か意味のあることを切り開いて行く、
『眠れる奴隷』であることを…

 

実際に死を宣告された仲間はそのあとの戦いで死んでしまいます。

彼のセリフの意図するところはつまり、運命自体は決まっているし、それが近いうちに訪れる死という過酷なものであっても、しっかりと目を見開き、意味を見出して生きて欲しいというものでしょう。つまりどんな運命をも受け入れ、しかし希望を見失わない姿勢、それこそがジョジョにおける『覚悟』なんです。

これは続く6部でもより直接的に表現されています。6部では人々に自身の運命を自覚させようとする重要な人物が出てきます。彼の思想は極端ではありますが、『明日死ぬと分かっていても、「覚悟」があるから幸福なんだ!』と喝破します。

つまりジョジョでは覚悟という人間賛美の裏面に、運命は絶対に変えられないという世界観を持っているのです。

そして、キングクリムゾンはまさにその不可避な運命を回避するための能力なのです。そのために世界から不都合な運命を時空ごと消し飛ばしてしまう。つまり分かりやすく言うと、運命やこの世界が映画だとすれば、その映画のフィルムの、気に入らないコマだけを消してしまう能力というわけです。

具体的にはキングクリムゾンは数秒の間、自分以外の時空を消してしまうことができます。自分以外なので消された時空間に自分は唯一存在することができ、行動が可能です。先ほどの例で言えば、切られた映画のフィルムを眺めている状態でしょうか。

そうしてもう一つ、キングクリムゾンには『エピタフ』という重要な能力があります。これは未来を予知する能力で、つまり映画の少し先のシーンを観れるんですね。

 

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二つもスタンド能力があってズルい!と思うかもしれませんが、これは本来キングクリムゾンが時間と空間を消し飛ばす事で運命から逃れているのを、空間を消さず時間だけを消すことで、未来の情報を知るだけに留めているのです。

これによって不都合な運命が来たタイミングでキングクリムゾンを発動することで回避しているというわけ。

まさに常に絶頂状態でいられる能力!

んで時空が消し飛ばされているというのは、つまりあらゆる運命から外れている状態であり、発動中はいかなる物理的な干渉をも受け付けなくなります。また逆に、発動中に自分の手から離れたものは再び、物理的干渉を受けるようになります。これを利用して自分の血で目潰ししたり、銃弾をすり抜けさせたりしているのですね。

余談ですが、ブチャラティが最初にボスと邂逅した際、未来の自分を攻撃してしまうというシーンがありますが、あれはボスがブチャラティに触れた状態でエピタフを使用した事で、ブチャラティにも未来が見えた状態だと考えられます。

 

同様にキングクリムゾンに触れられた状態で時空ごと吹き飛ばされたナランチャは気を失っていたので、ディアボロ以外は時間や空間が吹き飛ばされた状態では混乱状態に陥ってしまうようです。

更に余談ですが、ここら辺が時を止めるスタンド、DIOの「ザ・ワールド」との違いですね。DIOは時を止めている間に直接殴って攻撃できるわけですが、ディアボロは発動後に直接触れる事ができないわけです。

そういう理由からキングクリムゾンを発動すると、他の人間は時が断絶的に飛んだように感じてしまうわけですね。

 

以上、キングクリムゾンについての説明でした。思ったより早く書けたな・・・さあ昼飯でも食べっ・・・ばかな!消えたぞ!料理が!今!